このブログおよび高島司法書士事務所の債務整理・過払い金請求ホームページをご覧いただいた方が使用した検索キーワード(google,Yahoo!)を見ると、「消費者金融(サラ金)等への消滅時効の援用」に関連するものが多いようです。そこで、あらためて消滅時効援用の手続と費用についての解説をします。
私、司法書士高島の基本的な考えとしては、借入をしたのが事実である以上、消滅時効の援用をすることを積極的にお勧めするものではありません。しかし、やむを得ない事情により支払いを停止してしまったとして、それから長い期間が経てば多額の利息や遅延損害金が加算されることになります。
もしも、消滅時効の制度が無かったとすれば、大きく膨らんでしまった債務を一生をかけてでも支払わなければならず、信用情報が回復することもありません。それでは、いつまで経っても経済的な再生を果たすことが出来ませんから、消滅時効の援用をおこなうことも必要だと考えています。
消滅時効援用の手続について
当事務所に消滅時効援用の手続をご依頼いただいた場合、原則として、まずは相手方に受任通知(債務整理開始通知)を送り、取引履歴の開示を請求します。そして、消滅時効期間が経過していることを確認してから、消滅時効援用の内容証明郵便を送るようにしています(明らかに消滅時効期間が経過している場合には、最初から内容証明郵便により、消滅時効の援用をすることもあります)。
つまり、手続の開始をする時点では、通常の債務整理と同様の作業を行うわけです。受任通知を送ることで、司法書士が代理人になったことが相手方に伝わりますから、その後のやりとりは全て司法書士を通じてすることになります。
取引履歴の開示請求をする理由の一つとして、まれな例ではありますが、消滅時効の援用を前提に手続をご依頼いただき、相手方から開示された取引履歴の再計算をしてみたところ、過払い金が発生していたこともあります。
過払い金返還請求権の消滅時効期間は10年ですから、他社に対する借入金債務については5年間の消滅時効にかかっていても、過払い金の回収はできることになります。一方では、消滅時効の援用をしながら、もう一方では、過払い金返還請求権をすることに疑問を感じないではありませんが、少なくとも過払い金の有無についての調査はするべきでしょう。
消滅時効援用の費用について
当事務所では、消滅時効援用の内容証明郵便の送付をご依頼いただく際の司法書士報酬は、債務整理(任意整理)の場合と同額にしています。
なぜなら、債務整理として手続を開始して、債権調査をした結果、消滅時効が成立していることが判明するわけです。その場合には消滅時効の援用をしますし、もし消滅時効が成立していなかった場合には、返済方法について話し合うことになります。よって、手続としてはあくまでも債務整理(任意整理)の一環なのです。
任意整理基本報酬の他にかかるのは内容証明郵便料金で通常は1470円です(電子内容証明を利用)。
消滅時効援用は認定司法書士か弁護士へ
債務者(ご依頼者)の代理人として消滅時効援用の手続きが行えるのは、弁護士と認定司法書士に限られます。それ以外の専門家といわれる人に依頼しても、できるのはただ内容証明郵便を作成することだけです。受任通知を送って取引履歴の開示請求をすることもできませんし、相手方から問い合わせや反論があった場合には、ご自分で交渉するしかありませんのでご注意ください。