給与所得者等再生では、小規模個人再生と異なり再生債権者の決議無しに裁判所により再生計画案の認可決定がなされるのが大きな特徴です。また、個人民事再生では、自己破産手続における免責不許可事由のような規定がありません。よって、給与所得者等再生ならば、法律上の要件を満たしている限り再生計画案が不認可になる心配が不要です。

ただし、債権者に異議を述べる機会が設けられていない代わりに、給与所得者等再生では、計画弁済総額を可処分所得の2年分以上にしなければならないとの要件(可処分所得要件)があるのです。

この可処分所得は、再生債務者の収入から公租公課と生活費を差し引いた金額です。生活費は「再生債務者およびその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用の額(最低生活費の額)」とされています。この最低生活費は、生活保護法による保護の基準により計算しますから、かなり低額に抑えられています。

つまり、収入から、税金(所得税・住民税)、社会保険料(健康保険料・介護保険料)と、生活保護の基準による最低生活費を差し引いた残りは、全て可処分所得だということになります。

実際の再生計画は、この可処分所得の2年分である計画弁済総額を、3年間で返済するものとなりますが、それでも小規模個人再生を選んだ場合に比べ高額になることが多いため、給与所得者等再生が利用できても、あえて小規模個人再生を選択するケースが多数だと思われます。