前回の記事にも書いたように、当事務所ではローンやキャッシングについての過払い金請求を数多くご依頼いただいております。その他にも、最近多いご相談は次のようなものです。債務や借金、過払い金のことなら、高島司法書士事務所に何でもご相談ください。
住宅を維持しながら債務を処理したい
住宅ローンに加え、他にも銀行、クレジット、消費者金融などに多額の借金があるという方からの相談も多くいただいております。この場合、最初に検討すべき債務整理の手段は任意整理です。
任意整理では、住宅ローン以外の借金について、それぞれの債権者と話し合うことで、今後の支払い方法について和解契約を締結します。借金の元本が減額される事は通常ありませんが、今後の利息は原則としてかかりませんから、支払総額は大幅に減額されることが期待できます。任意整理による支払い期間は3年間(36回払い)を基本とし、最長でも5年間(60回払い)程度となります。したがって、住宅ローンを支払つつ、その他の借金を最長60回払いで支払うのが困難なのであれば、任意整理以外の方法を検討することとなります。
ローン支払い中の住宅を維持しながら、その他の借金を整理したいと言う場合に非常に有効な手段は個人民事再生手続です。個人民事再生では、住宅ローンについては利息をおよび元本を含め全額を約定通り支払うのが通常です。しかし、それ以外の借金については大幅に減額を得られる可能性があります。例えば、住宅ローン以外の借金の総額が500万円であった場合、最低の返済額は100万円となります。つまり、 100万円のみ支払えば残りの400万円は免除してもらえると言うわけです。個人民事再生ではこの100万円を原則として3年間(36回払い)で支払いますから、月々の支払い額は2万8,000円弱となります。
この間も住宅ローンは約定通りの支払いをしますが、それに加えて、2万8,000円弱の支払いを3年間続けることにより、住宅ローン以外の債務の支払い義務が消滅するわけです。個人民事再生を利用するには定期的な収入があることが条件で、それ以外にも様々な条件がありますが、会社勤めをされている方などであれば、利用条件を満たしている場合が多いでしょう。
任意整理、民事再生のいずれも利用できない場合には、自己破産を選択せざるを得ないこともあります。自己破産の場合には、ローン支払い中の住宅を維持することは原則として不可能です。債務整理は、少しでも早く行う方が良い結果が得られるはずです。支払いが厳しいと思ったら、お早めに司法書士などの専門家に相談されることをおすすめします。
長い間支払っていなかった借金の処理
消費者金融(サラ金)、クレジットカードのキャッシングなどの返済が滞ると、個人信用情報に延滞や異動といった事故情報が登録されます。この事故情報は、延滞を解消し完済しない限りいつまでも登録されていることもあります。よって、ずっと昔の借金であって、現在は請求を受けていないというような場合であっても、個人信用情報に記録されている事故情報を消すためには、そのまま放っていくわけにはいかないのです。
長年にわたって返済が滞っていた場合、借金の元本に加え、多額の遅延損害金が加算されていることになります。それでも、司法書士などの専門家を代理人として交渉することによって、遅延損害金の支払いを免除してもらったり、大幅に減額してもらえる場合もあります。また、最後の返済の時から5年以上が経過している場合、消滅時効を援用する旨を内容証明郵便により通知するだけで返済義務が消滅することもあります。
過去の借金を、きっちりと処理したいと考えるならば、司法書士などの専門家に相談したうえで、どのように手続きを進めていくかを検討するのが良いでしょう。
裁判所から訴状が届いた
最後の返済の時から5年以上が経過し、明らかに消滅時効が完成していると考えられるのに、貸金請求の訴訟が送られてきたとのご相談を多く頂いております。
かなり昔の借金のことだから、もう時効になっているに決まっているとか、そんなところから借りていたかどうかも記憶が定かでないなどという場合でも、受け取った訴状を放っておくのは絶対に避けるべきです。
答弁書を出すことなく裁判を欠席した場合、そのまま原告の主張を認める判決が出てしまうこともあります。そうなれば、明らかに時効消滅しているはずの昔の借金であっても、支払い義務があることが確定してしまいます。
そこで、裁判所から訴状が送られてきた場合は、その内容を認めるかどうかに関わらず、必ず答弁書を提出するべきです。裁判所から送られてくる訴状には、「口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」という表題の書面が同封されています。そこには、裁判所に出頭する期日が書かれており、期日の1週間前までに答弁書を提出するよう指示があります。よって、裁判が開かれる期日の直前ではなく、少しでも早く、司法書士や弁護士などの専門家に相談するべきです。
すでに消滅時効が完成していると考えられるときは、答弁書により消滅時効を援用する旨の主張をします。もしも、原告が消滅時効の完成を認める場合には、それで裁判は終了です。答弁書を事前に提出していれば、裁判所に出頭する必要ありませんから、遠方の裁判所であったとしても問題ありません。