大手司法書士事務所によるテレビやラジオのCMなどで「過払い金の返金手続き」との言葉を耳にすることも多いかと思います。
返金(へんきん)というと、払い過ぎたお金を返してもらうだけの簡単な手続きのように感じるかもしれません。しかし、実際には過払い金の返還請求(へんかんせいきゅう)手続きを、ソフトなイメージの言葉に置き換えているだけで、やっていることは全く同じです。
過払い金とは
消費者金融やクレジットカードなどによる、キャッシング・ローンの上限利率は年18%と決まっています(利息制限法、借入元本10万円以上100万円未満の場合)。
しかし、かつてはこの上限利率を超える金利での貸し付けがおこなわれていました。この場合、最初に借りたときにさかのぼって、すべての取引(借入、返済)を法定金利で計算し直します。
これにより借入債務の元本が減り、ときにはマイナスになることもあります。この借入元本がマイナスになった状態のことを、「過払い金が発生した」とか、「過払いになった」といっています。
そして、過払い金が発生していれば、その過払い金を返してくれるよう相手方(消費者金融、クレジットカード会社)に請求します。これが、過払い金返還請求です。
過払い金返還請求の実際
現在では、上記の上限利率を超える金利での貸し付けは無効であることが、最高裁の判決により確定しています。けれども、かつてはグレーゾーン金利などどいわれ、必ずしも無効であるとは言い切れず、実際にも年29.2%などの利率が契約書にも書かれていたわけです。
それが後になって無効だとされ、過払い金請求ができることが一般に知られるようになったのです。過払い金返還請求の激増により、消費者金融最大手であったこともある武富士が倒産したことをご存じの方もいらっしゃるでしょう。
いったんは有効な返済として受け取ったはずの利息を、後になって返還しなければならなくなったのですから、仮に全ての過払い金のすべてを自主的に返すとなったら、大手の消費者金融はどこも潰れてしまうでしょう。
したがって、過払い金はできるだけ返還したくないのは当然であり、過払い金の「返金」手続きというような簡単なものでは無く、裁判(過払い金返還請求訴訟)によることも辞さないでおこなうべき手続きであるのです。
ただし、過払い金返還請求を専門家(弁護士、認定司法書士)に依頼したときは、その専門家が代理人として返還請求および交渉をおこないますから、ご自分で相手方との交渉をする必要はありません。
過払い金の返還請求手続き(返金手続き)をしようとするときは、弁護士または認定司法書士に相談し、納得のいく説明を受けたうえで依頼することをお勧めします。