非常に刺激的なタイトルですが、2014年12月1日付けlivedoorニュースからの引用です。

住宅ローンは危険すぎる?破綻者急増の実態 退職金減額、病気…売却しても巨額借金
破綻の相談は今年に入って増えており、昨年の倍、年間1000件に達する勢いです。破綻に陥る理由は、高額購入、退職金の減額、リストラ、病気、離婚……あらゆるものがあり、複合的でもあります。相談に来られた方に共通して言えるのは、ローンを組むときに破綻を想像した方は一人もいないということです

当事務所でも、住宅ローンの返済が困難になっている方からのご相談を数多くいただいております。昨年の倍とはいわないまでも、増加の傾向にあるのは間違いありません。住宅ローンの借入時には問題なく返済できると考えていたのが、その後の事情の変化などにより返済が厳しくなるケースは非常に多いです。

借入先の金融機関に相談し月々の返済額を変更することで、支払可能になることもあるでしょう。しかし、記事中にもあるように、月々の返済額を減額すれば完済時期は先になりますし、利息がそのままであれば総支払額も増えてしまうことになるので要注意です。

さらに、住宅ローン返済のために、銀行やその他の金融機関などから借入してしまうことで、結果として返済不能になってしまう方も非常に多いです。今後の収入が確実に増えていくような特殊な場合を除けば、住宅ローン返済のために借金をしてしまえば、さらに生活が苦しくなることは間違いないでしょう。

住宅ローンの支払いが苦しいとき

まずは、月々の収支を見直して、出費を減らすことを試みるのが第一です。とくに、携帯電話、インターネットなどの通信料が過大だったり、生命保険に入りすぎている例が多いです。

万が一のときを考えて生命保険は解約できないと言われる方も多いですが、どうしても保障が必要ならば掛け捨ての安いものに加入すれば良いでしょう。万が一のときよりも、今の家計が大切です。

また、専業主婦である妻がパートをすることなどにより、収入を増やすことができれば、家計収支が改善するかもしれません。

家計を見直しても、当初の契約どおりの住宅ローン支払いが困難なのであれば、借入先金融機関に相談することで返済条件の見直しをするのも一つの方法です。

上記の方法によっても支払いができないのであれば、住宅ローンの支払いを継続して、住宅を維持するのは困難だと判断するしかないでしょう。

収入の範囲内で住宅ローン支払いができないのであれば、他に方法はありません。早い段階で住宅を任意売却するなどして手放すことを考えるべきでしょう。

個人民事再生手続きの活用

住宅を維持しつつ債務整理ができる手段として、個人民事再生の手続きがあります。

当事務所でも多数の個人民事再生の手続きを取り扱っていますが、この方法が使えるのは「住宅ローン以外の借金支払いのせいで、住宅ローン支払いが困難になっている」場合に原則として限られます。

具体的には、住宅ローン支払いのために借金をしてしまって返済が困難になっている場合です。このようなときに、住宅ローン以外の借金支払いが無くなれば、住宅ローンは問題なく支払っていけるのであれば、個人民事再生が使える可能性があります。

つまり、住宅ローンの支払いそのものが困難な場合には、個人民事再生を使っても支払が楽になることは無いと考えるべきです。この手続きでは、住宅ローンについては元本、利息を含めた全額を支払うのが原則だからです。

他にも個人民事再生手続きを利用するには様々な要件がありますが、ご利用を検討の際は当事務所へご相談ください。

これから住宅ローンを組む場合

すでに住宅ローンの支払いが苦しい場合には関係ありませんが、記事中にはこれから住宅ローンを組むときのアドバイスもあります。

これから住宅ローンを組もうと考える人には、もう一つアドバイスがある。地価の下落スピードを考えて、「できるだけ資産価値の減らないエリア」を選ぶということだ。地価の下落スピードが住宅ローン(元金)の減るスピードよりも速ければ、不動産を売却した場合、借金だけが手元に残ってしまい、自己破産せざるを得なくなる。

記事中にもありますが、今の時代に「購入後に資産価値の減らないエリア」など非常に限られます。よって、資産価値が減らない不動産を買うのが良いと分かっていても、現実には困難であるのが実際のところでしょう。

また、現代の日本においては、地価上昇どころか、資産価値の減らない不動産を購入することすら難しいのも大きな問題です。20年以上も前のことになりますが、バブル崩壊以前の我が国では地価は上昇し続けるのが当然だと考えられていました。

そのため、住宅ローンを組んで土地家屋を購入しても、売却時には価格が上がっているので、ローン完済前の住み替えも容易におこなえました。また、事情が変わって自宅を手放すとしても、売却価格で残りの債務を完済できますから、自己破産するような状況にはなりにくかったのです。

しかし、かつてとは状況が大きく変わっています。そこで、資産価値ができるだけ減らない不動産を選ぶのが大切であることに加え、住宅ローン破産を防ぐためには、ある程度の頭金が用意できることが絶対条件だとも考えるべきです。

購入直後に不動産の価値が20%下落したとしても、それに相当する頭金を支払っていれば、売却価格で住宅ローンの残金を完済できます。つまり、資産価値が下がる分を考慮して頭金を入れておけば、住宅ローン破産することは無いはずです。

頭金にできるような手持ち資金が無い状態で、全額借入(フルローン)により住宅購入をするのは非常に危険なことです。住宅ローンの審査に通ったからといって、支払ができるとは限らないのです。