前回の記事『債務整理の方法(任意整理)』では、任意整理のメリットとして、将来利息のカット、債務元本の減額が見込めることを挙げました。これにより、当初の約定どおりの返済をしていくのに比べて、大幅に支払が楽になることが期待できますが、やはりそれでも支払可能な返済計画が立たないこともあります。
そのときに検討すべきなのが、個人版の民事再生手続(個人債務者再生手続)です。この民事再生は裁判所へ申立をする手続ですが、任意整理をするのに比べて、大幅に支払が楽になる可能性があります。
任意整理では全ての取引を利息制限法の上限利率で再計算しますが、それによって算出された債務元本については、原則として全額を支払う必要があります。たとえば、5社から合計300万円の債務元本があったのを、再計算することで200万円に減額されたとします。任意整理であれば、この再計算後の債務元本200万円については全額を支払わなければなりません。
これを3年間(36回)支払うとすれば、月額は55,556円となります。約56,000円を3年間支払続けることが出来るのであれば任意整理が可能ですが、それが難しいなら他の債務整理方法を考えることになります。
もしも、上記ケースで民事再生を利用した場合、200万円の債務元本のうちの100万円を支払えば、残りの100万円の支払いを免除して貰える可能性があります。
個人民事再生とは、『現在の総債務(債務元本)のうち、法律で定められた最低弁済額以上の金額を、原則として3年間で弁済する再生計画を立て、その再生計画案が裁判所に認可された後に、現実に再生計画どおりの弁済を完了することで、その他の債務の支払いが免除される』手続です。
たとえば、民事再生法で定められている、総債務額が100万円以上500万円未満の場合の『最低弁済額』は100万円です。したがって、上記のケースでは最低弁済額である100万円を3年間で支払うとの再生計画についての認可を受け、その弁済を完了することで、残りの100万円の支払が免除されるわけです。
100万円を3年間で支払うとすると、月額は27,778円ですから、任意整理の場合の支払月額に比べて半分となります。
民事再生は住宅ローンが無くても利用できます
民事再生は、住宅ローンがある場合に、住宅を維持しながら債務整理ができる手続だと解説されることが多いと思われます。しかし、住宅ローンが無い場合でも、民事再生を利用することで有効に債務整理ができるケースも少なくありません。
とくに、グレーゾーン金利が撤廃された現在では、任意整理による債務元本の減額が見込めなくなっていますから、民事再生の優位性が高まっているといえます。かりに全ての債務が法定利息内の借入だったとしても、それが5分の1に減額される可能性があるのです。
なお、民事再生を利用するには『継続的または反復して収入を得る見込みがあり、かつ、住宅ローン以外の債務が5,000万円を超えないこと』との法律(民事再生法)で定められた要件があります。よって、全く収入が無い方は利用が困難ですが、今後、就職して収入を得られる見込みがあるなどの事情によっては民事再生が可能なこともありますし、諦めずにまずは司法書士にご相談ください。
民事再生のご相談は松戸の高島司法書士事務所へ
松戸の高島司法書士事務所では、債務整理の手段として個人民事再生を積極的に取り扱っています。
個人民事再生は、同じ裁判所手続である自己破産と比べても複雑であり、また、個々のご依頼者の実情に応じて検討すべき事項が多いため、幅広い知識と経験が要求される手続であるといえます。
高島司法書士事務所では、これまでにも多数の個人民事再生申立を行っており、豊富な経験と実績を有しています。個人民事再生のご利用を検討されている方は、ぜひ松戸の高島事務所にご相談ください。
「個人版民事再生」の関連情報
・個人民事再生(個人債務者再生手続) (債務整理・過払い請求ホームページ)