名前を聞いたこともない債権回収会社から通知書(請求書、督促状など)が届いたとのご相談が多くなっています。

今回は、アイ・アール債権回収株式会社から「訴訟等申立予告通知」とのタイトルの通知書が届いたとのご相談です(なお、アイ・アール債権回収株式会社からの「訴訟等申立予告通知」については、当事務所でも同じ日に2件のご相談をいただくこともあったりするなど、ここのところ集中的に督促がおこなわれているようです)。

アイ・アール債権回収株式会社(本社:東京都千代田区麹町3丁目4番地トラスティ麹町ビル5F)は、アコム株式会社が全額を出資している債権回収会社です。そのため、アイ・アール債権回収株式会社から請求があるのは、アコム株式会社から借入れをしていて、その返済が滞ったままになっている方です。

最後の返済のときから10年、20年と長期間が経過しているものも多いため、消滅時効が成立しているものが大多数だと思われますが、そのまま放置していれば本当に裁判手続がおこなわれる可能性もあります。

ご自身の場合で時効援用が可能であるかなど、まずは専門家に相談して対応を検討することをおすすめします。認定司法書士である、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)でもご相談を承っています。

ご相談は予約制なので、「ご相談予約」のページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いいたします。また、当事務所による「消滅時効の援用」のページもご覧ください。

当事務所へご相談いただく場合、これ以降の知識はとくに不要ですが、ご参考のために記します。通知書に書かれている内容に分からないことがある場合でも、ご自分で債権者に問合せするのは避け、すぐに専門家(認定司法書士、または弁護士)に相談するようにしてください。

アイ・アール債権回収からの「訴訟等申立予告通知」

アイ・アール債権回収株式会社の「訴訟等申立予告通知」には次のような記載があります。

訴訟等申立予告通知

前略、当社は、下記債権を「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づき譲り受けました。

当該債権は、既に期限の利益を喪失しておりますが、貴殿は、本日現在、本件債権金額を弁済しておりません。

つきましては、弁務期限までに請求合計金額をお支払い頂くか、誠意ある弁済案をご提示下さいますよう通知致します。

下記弁済期限までに請求合計金額のお支払いをいただけない場合や、誠意ある弁済案をご提示いただけない場合は、やむを得ず訴訟手続きに着手することもある旨を予め申し添えます。

草々

この「訴訟等申立予告通知」が届く前にも、何度か別の通知書が送られてきているのが通常だと思われます。

「訴訟等申立予告通知」が届いたからといって、絶対にすぐ訴訟手続きが開始されるとは限らないものの、これ以上放置しておくべきではありません。早急に専門家(認定司法書士、または弁護士)に相談し、時効援用が可能であるかなど対応を検討するようにしてください。

認定司法書士である、千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)でもご相談を承っています。ご相談は予約制なので、「ご相談予約」のページをご覧になって事前にご連絡くださいますようお願いいたします。

【譲受債権内容】の「債権の弁済期」に注意

その下には、【譲受債権内容】として、次のような記載がありますが、ここに書かれている「債権の弁済期」には注意が必要です。

【譲受債権内容】
ご契約者名
債権譲渡人
現在の債権者 東京都千代田区麹町3丁目4番地トラスティ麹町ビル7F
 アイ・アール債権回収株式会社 法務大臣許可番号第51号 電話番号03-5215-××××
包括登録年月日 2000年××月××日 当初の約定利率28.470%
最終貸付年月日 2000年××月××日
最終貸付後残高 100,000円
債権の弁済期  2020年8月31日
譲受年月日   2020年11月20日
譲受債権金額  400,000円

ここに書かれるべき「債権の弁済期」は、当初の契約(金銭消費貸借契約)で定められていた支払期日です。

たとえば、毎月末日までに支払うという契約だったとして、2000年7月31日の支払いを最後に返済がストップしてしまっているとすれば、債権の弁済期は2000年8月31日となるはずです。

2000年8月31日まに支払うべきだったのを払っていないため、債権の弁済期がこの年月日で止まっているということです。

そして、この債権の弁済期である2000年8月31日が経過することにより、債権者が債務者に対して支払いの請求をできることとなるわけです。

民法166条により、債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときには、時効によって消滅するとされています。

したがって、債権の弁済期である2000年8月31日が経過したときから5年間で、債権が時効消滅することとなります。

ところが、アイ・アール債権回収株式会社の「訴訟等申立予告通知」に書かれている「債権の弁済期」には2020年など最近の日付になっているものが存在します。

債権の弁済期がこの記載どおりに2020年の日付だったとすれば、消滅時効は成立していないことになってしまいますが、最後に返済したのが10年とか20年前であるならば、債権の弁済期もその辺りの日付となるべきです。

よって、結論としてはここに書かれている債権の弁済期に関係なく消滅時効の援用は可能であるということになります。

なお、「債権の弁済期」の下にある、「譲受年月日」と近い年月日が「債権の弁済期」に書かれているケースもありますが、債権譲渡により弁済期が変わったり、時効期間がリセットされることはありません。