株式会社クレディアから「債務名義確定通知」とのタイトルの通知が届いたとのご相談をいただいています。この債務名義確定とは「過去に簡易裁判所へ訴訟を提起し勝訴判決が確定している」ことをいっています。
株式会社クレディアから借入をしたことがなくても、他社(株式会社日本保証、株式会社ステーションファイナンスなど)から承継した債権についての請求もしているので、クレディアからの通知を架空請求のようなものだと考えて無視してしまうのではなく、専門家に相談して適切な対応をするべきです。
この記事では、債務名義確定通知が届いた後に時効援用が可能であるかなどについて書いていますが、ご自分で判断するのは難しい場合もあるので、このような通知が届いたらすぐに専門家(認定司法書士、弁護士)に相談することをお勧めします。
千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)でもご相談をうけたまわっていますので、ご相談予約のページをご覧になって事前にご予約のうえご相談にお越しください。また、高島司法書士事務所(千葉県松戸市)による、消滅時効の援用のページもぜひご覧ください。
なお、当事務所へご相談にお越しいただく場合、これ以降はとくにお読みいただかなくても問題ありません。
1.債務名義確定後の時効期間
まず、確定判決によって確定した権利についての時効期間は10年(民法169条1項)となるので、裁判を起こされ判決が確定している場合には、そのときから10年が経過しないと時効になりません。
そこで、最初に確認すべきは裁判を起こされたのがいつであるかです。「東京簡易裁判所平成23年(ハ)第×××××号 事件」のように書かれていたとすれば、裁判を起こされたのは平成23年であることがわかります。
裁判を起こされた年と、判決が確定した年が同じだとは限りませんが、だいたいの目安にはなります。そこで、裁判を起こされたときから10年が経過している場合には、消滅時効が成立している可能性があるわけです。
クレディアから債務名義確定通知が届いていたときでも、すでに判決確定のときから10年が経過しているようなケースもあるので、まずは消滅時効が完成しているかどうかを検討すべきです。
そして、すでに時効になっているときには、代理人(認定司法書士)により時効の援用をすることにより解決に至り、その後はクレディアから請求を受けることもなくなるということになります。
2.債務名義確定通知に書かれていること
先日のご相談では「債務名義確定通知」のほかに、「ご案内」と書かれた文書も入っていました。この文書には「Jトラストフィナンシャルサービス借入の件 東京簡易裁判所平成○年(ハ)第×××××号 事件に基づく債務名義」というような記載が最初にありました。それに続けて次のように書かれています。
ご連絡なき場合、上記確定 正本に基づき、動産(家財差押)執行手続きの申し立てを行います。尚、本動産執行手続きに於きましては、弊社担当社員とともに裁判所より執行官がご自宅へお伺いします。万が一ご不在の場合は専門業者による解錠を行い、執行官が宅内へ強制立入りを実施致しますこと、ご承知おきください。
債務名義が確定してからは長い年月が経過しており、本当に強制執行をするのであればとっくに手続きをおこなっているはずではありますが、このように書かれているのを見れば不安になるのは当然でしょう。
さらに債務名義確定通知とのタイトルの文書にも次のような記載があります。
債務名義確定通知
東京簡易裁判所平成○年(ハ)第×××××号 事件
前略
お客様との金銭消費貸借契約におきましては、上記に表示した債務名義が確定しており、お支払に関する決定がなされておりますが、本日現在までご連絡及びお支払の確認ができておりません。つきましては、裁判所の決定に基づく請求金額をお支払していただきますようお願い申しあげます。
(ご希望がございましたら債務名義の写しをお送りいたしますので、ご連絡くださいませ。)
※下記お支払期限までに、ご入金もしくはご連絡無き場合には、解決の意直がないものとみなし、債務名義に基づいて強制執行の申立(差押手続き)を実施することがございますことをここに通知いたします。
草々
なお、強制執行をする場合、債権者に勤務先を知られているときには給与の差押えをされる可能性もありますが、動産(家財道具)の差押えをしてもあまり意味がないため、実際におこなわれるケースは少ないものと思われます。
それでも、判決で確定した権利の消滅時効は10年であり、また、支払うのを前提に和解交渉をしようにも、株式会社クレディアは分割払いによる和解には応じないため、時効期間が経過していない場合の簡単な解決策は存在しないわけです。