亡くなられたご家族に債務(借金)があった場合、その債務の支払い義務は法定相続人であるご家族(配偶者、子など)に引き継がれることとなります。
相続財産のなかに現金や預金があり、その現預金によって借金を一括返済できるならば問題ないとして、おもな相続財産が不動産(土地家屋、マンション)だけである場合や、そもそも財産がほとんど無いようなときには、相続人が自分自身の財産により債務の支払いをしなければならないこともあります。
亡くなられたご家族(以下、「被相続人」とします)の借金が、銀行カードローンであった場合、相続人に対して銀行が一括返済を求めることもありました。もちろん、交渉により分割払いとして貰う余地はあるとしても、一括払いを求められたらそれに応じなければならないのが原則だったわけです。
2018/5/14付の日本経済新聞によれば、みずほ銀行と三井住友銀行は「カードローン債務を相続した人が残った額を返済しやすいように、分割払いを認める」こととなったようです。
カードローン債務相続 返済、分割払いOK みずほ・三井住友
みずほ銀行と三井住友銀行は、カードローン債務を相続した人が残った額を返済しやすいように、分割払いを認める。従来は一括返済を求めることもあったが、負担が重いという相続人らの訴えに配慮した。過剰融資との批判も残るカードローンの運営を改善する。
記事によれば、三菱UFJ銀行も同様の対応を検討しているとのことです。その他の銀行については、現状では従来どおり相続人に対して一括払いを求めることもあるでしょうが、今後はカードローン規定や運用の変更が広がっていくかもしれません。
相続放棄の検討について
被相続人に銀行カードローン債務などがあり、銀行や保証会社から一括返済を求められた場合、銀行へ直接連絡する前に専門家(弁護士、認定司法書士)に相談するのが良いでしょう。
すぐに支払える額ではないような金額であれば、支払ってしまっても問題ないでしょうが、他にも債務があるような場合には相続放棄をするべきかもしれません。そのようなときには、銀行と話し合いをしてしまったり、相続財産の処分だとみなされるような行為をしてしまう前に、専門家と相談してその後の進め方を検討すべきです。
相続放棄をする場合には、銀行カードローン債務だけを引き継がないというわけにはいかず、被相続人についてのプラスの財産も含めて全て放棄することになります。よって、まずは被相続人の財産の状況を調べて、相続放棄するかどうかを決めることになります。
相続放棄が出来るのは、相続開始から3ヶ月間であるのが原則です(被相続人の配偶者、子などが相続放棄する場合)。どうして良いか分からないうちに3ヶ月間が経過してしまったとしても、その後に相続放棄するのは困難な場合もあります。
したがって、相続放棄するか否かを期間内に決定し、さらに家庭裁判所への申立てもおこなわなければならないわけですから、期間が迫っている場合などは早急に専門家へご相談ください。当事務所でもご相談を承っていますので、事前にご予約の上、ご相談にお越しください。
また、相続放棄をお考えの場合には、松戸の高島司法書士事務所が運営する「相続放棄の相談室」ホームページも参考にしてください。