1.住宅ローンの返済が苦しくなったら

収入の減少や失業などにより、月々の住宅ローン返済が苦しくなった場合でも、住宅ローン支払いのために、キャッシングやローンなどの借入れで不足分をまかなおうと考えるのは避けるべきです。

もしも、すぐに収入が回復するのが明らかなのであれば、一時的な不足分を借り入れでまかなうことも可能かもしれません。しかし、そもそも収入に比べて返済額が大きいような状況であったならば、返済のための借入れを繰り返すことで、多重債務におちいる結果となっています。

現在の収入の範囲内で返済をしていくのが困難だと分かったら、早く行動を起こすことが大切です。支払いが滞りだしたり、他から借入れをするようになってからでは、解決するのが難しくなることが多いからです。

住宅ローンの返済が困難になったとき、司法書士や弁護士に相談に行くと、自己破産や民事再生を勧められることになるでしょう。民事再生であれば、住宅を維持しつつ債務整理することも可能ですが、自己破産では住宅を手放すことになってしまいます。

ここでは、上記のような債務整理を検討する前の段階として、今後も住宅ローンを支払い、住宅を維持していくための方策として、ローン返済条件の変更手続についてご案内します。

2.住宅ローン返済条件の変更

平成21年12月4日に施行された中小企業金融円滑化法により、現在は、銀行等の金融機関が、住宅ローンの貸付条件変更に積極的に応じるようになっています。

実際の詳しいデータについて、金融庁ホームページでご覧になれます。『中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について』(平成23年7月26日付)

この金融庁のデータによれば、法施行日から平成23年3月31日までの実績では、申し込み167,554件のうち、125,721件について貸付条件の変更が実施されています。

申し込み件数の中には、審査中(10,690件)や取下げ(19,251件)したものが含まれますから、審査に通らなかった(謝絶された)のは11,892件(申込件数の7.1%)に過ぎません。

よって、申込件数から、「審査中」と「取り下げ」したものを除外した実行率では90%を超えていることになります。

この返済条件(貸付条件)の変更では、返済期間を延長したり、元金の返済猶予を受けたりすることになります。

まず、返済期間を延長すれば、月々の支払額を抑えることはできますが、総支払額は増えることになります。さらに、返済期間が長くなることにより、保証会社に追加の保証料を支払う必要も出てきます。

また、元金の返済猶予については、返済困難なのが一時的であるならば、その間の元金支払いを据え置いて利息のみの支払いとすることで、無理なく支払いができるかもしれません。

ただし、この方法でも、元金の返済猶予を受けている期間に支払った利息の分だけ、総支払額が増えることになりますし、追加の保証料が必要になるのは同様です。

上記のように、返済条件の変更をした場合、金利の引き下げを伴うのでなければ、総返済額は増えてしまうことになります。なお、借入先の金融機関と交渉することで金利引き下げをしてもらったとの話も聞きますが、現実にはかなり難しいと思われます。

したがって、貸付条件(返済条件)の変更を受けても、返済が大幅に楽になるケースは少ないと考えられますが、収入の範囲内での返済が難しいのであれば、返済が滞ってしまう前に積極的に検討するべきだと言えます。

3.高島司法書士事務所への住宅ローン返済のご相談

高島司法書士事務所の、司法書士高島はファイナンシャルプランナー(FP)の資格も有しています。一般の司法書士・弁護士に相談した場合、はじめから自己破産・民事再生などの債務整理手続が前提になりがちなのに比べ、当事務所では、債務整理だけに限定されない柔軟な解決策がご提示できます。

金融機関との交渉に際して、司法書士が同行することも可能ですので、ぜひお問い合わせください。