『新生銀行、本体で消費者金融 「総量規制逃れ」と業界反発』との記事が本日の日経新聞法務面にありました。

当ブログのアクセス解析でも「レイク 総量規制」「新生銀行 レイク」といったキーワードを利用されている方が非常に多く、銀行本体が消費者金融に参入したとのニュースに関心がある方が多いのでしょう。

上記記事の内容は、すでに当ブログでも書いているものがほとんどでしたが、なぜ銀行は総量規制の対象外なのかについて、興味深いコメントがありました。以下、記事を引用します。

なぜ銀行は規制の対象外なのか。金融庁は「銀行法で経営全般を厳しく監督されているから」と説明する。「貸金業法改正の目的の1つは、企業統治が弱く、問題の多かった貸金業者を締め出すことにあった。銀行なら問題は起こさない」と解説する関係者もいる。

かつて厳しい取り立てなどが社会問題になった貸金業者も経営手法を改め、業界の環境は次第に変わってきた。今後、業種を超えた規制全般を整理し直すよう求める声が浮上する可能性もある。

これによれば、消費者金融、クレジット・信販会社といった貸金業者による貸付が適切に行われることではなく、貸金業者を「消費者金融市場」そのものから締め出すことが総量規制の目的であることになります。

たしかに消費者金融に問題があることは事実だとして、果たして「銀行なら問題を起こさない」と言い切れるのでしょうか。現在の消費者金融、クレジット・信販会社といった貸金業者が、消費者金融から排除されたとして本当に問題は無くなるのか。

そもそも、企業や、個人事業主であれば、融資を受けることで事業に投資し売上げや利益の拡大を図ることができますから、借りたお金が大きな価値を生み出す可能性があります。

しかし、会社員、アルバイト、パートといった職業の人が消費者金融から借入をするときは、家計収入のマイナスを補おうとしたり、または、収入に不相応な消費をしようとしているものであって、借りたお金が新たな価値を生み出すわけではありません。

そして、そもそも収入の範囲内で何とか生活をしていたところに、消費者金融に対する返済が加われば、さらに生活が苦しくなるのは明白です。そして返済のために借入をすることで多重債務に陥っていくわけです。

つまり、突発的な支出が生じたとき、緊急避難的にせいぜい10万円程度のお金を借りて、それを返済できるまでは新たな借入をしない。そういう使い方が徹底されるのであれば、消費者金融も有用なものだといえるでしょう。

ところが、現実には総量規制がされたとしても、年収の3分の1までは借りられるのですから、十分に過剰融資だと考えられます。それに加えて、総量規制の対象外である銀行が消費者金融業に参入し更なる貸付を行うのであれば、新たな多重債務を生み出すことになるのは自明の理です。

銀行による消費者金融業への参入が大きな注目を浴びているのが、どのような観点からなのかはまだ良く分かりません。しかし、貸金業者からの借入が総量規制の上限に抵触している方が、更なる融資を求めているのだとすれば、新生レイクから借入をすることが問題解決に繋がるとは思えません。

新たな借入をしなければ返済ができず、生活が成り立たないのであれば、債務整理することも含め、司法書士等の専門家に相談するべきです。実際に債務整理手続をするかは別として、専門家の目で家計の状況を診断してもらうことで、解決策が見つかるかもしれません。

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