平成22年6月18日に完全施行された貸金業法により、総量規制が導入されました。総量規制とは、過剰な貸付を抑制するために、貸金業者からの借入残高の上限を法律によって定めたものです。これにより、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えている場合、新規の貸し付けが禁止されます。
総量規制の対象となるのは?
総量規制の対象となるのは、貸金業者からの個人の借入れです。ここでいう貸金業者とは、消費者金融(サラ金)、クレジット・信販会社などを指し、銀行や信用金庫、信用組合などは含まれません。
クレジットカードでは、ローンやキャッシングによる金銭の借入れが総量規制の対象となり、ショッピング(立替払い契約)は対象外です。たとえば、リボ払いショッピングの残高が100万円あっても、それは総量規制の計算には含まれません。この他、住宅ローンや自動車ローンについても、総量規制の対象外です。
また、総量規制は、個人の借入れが対象ですから、個人事業主による事業資金の借入れや、法人名義での借入れには適用されません(ただし、個人事業主が総量規制の上限を超える借入れをするには、事業・収支・資金計画を提出し、返済能力があると認められことが原則として必要です)。
総量規制を超えて借り入れするには
すでにご説明のとおり、総量規制の対象となるのは貸金業者(消費者金融、クレジット会社など)からの金銭の借入れ(キャッシング、ローン)のみです。
1.銀行からの借入れ
したがって、銀行のカードローン(フリーローン)は総量規制の対象外です。従来から銀行が提供していたものだけでなく、平成23年10月からは新生銀行が「レイク」ブランドでのカードローンを開始しました。これは、銀行本体が消費者金融業をおこなうことにより、総量規制を潜脱する目的があるのは明らかだといえます。
付け加えると、「新生銀行カードローン レイク」から借入をする際は、新生フィナンシャル株式会社の保証を受ける必要があります。新生フィナンシャルとは、これまでレイクの名前で消費者金融業をおこなっていた会社です。新生銀行から借りたつもりが、支払いが滞れば、新生フィナンシャルから督促を受けるわけです。
2.クレジットカードのショッピング枠の現金化
また、クレジットカードのショッピング(商品購入)も総量規制の対象外であるため、「クレジットカードのショッピング枠の現金化」を利用する方が増えて問題となっています。クレジットカードショッピング枠の現金化とは、クレジットカードで購入した商品をすぐに売却することで現金を手に入れようとするものです。
多くの場合、「ショッピング枠の現金化」を宣伝している業者を利用します。たとえば、新幹線の乗車券をクレジットカードで購入し、購入価格の80%で現金化業者に買い取ってもらうわけです。これにより、一時的に現金が手に入りますが、支払い日には購入額の全額を支払う必要があります。
また、ショッピングをリボ払いにしていれば、さらにリボ払いの利息もかかるわけですから、大変な額の利息・手数料を取られることになります。よって、「ショッピング枠の現金化」を利用すれば、借金は更に膨れ上がっていくに違いありません。
さらに、このようなクレジットカードの利用は、カード会社の利用規約に違反しますし、違法行為に該当するとも考えられますから絶対にするべきではありません。
借入れしないと返済できないなら
総量規制とは、そもそも過剰な貸付がおこなわれるのを抑制するために作られたものです。実際は、総量規制ができる前には年収を超える貸付が当然のようにされていたわけですから、それが年収の3分の1に突然制限されるのは極端すぎるとも考えられます。
しかし、総量規制を超えて借り入れすることを考えるのではなく、借入れしなくても生活が成り立つようにするべきであり、また、現時点で借金があって借入れしなければ生活できないならば、早急に専門家(司法書士、弁護士)に相談するべきなのです。
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