松戸市の高島司法書士事務所

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債務を相続しないための相続放棄とは

遺産放棄と相続放棄(松戸の高島司法書士事務所) 相続放棄

「遺産放棄」と「相続放棄」は別物です(借金の支払い義務に注意)

「遺産放棄」という言葉を耳にすることがあります。しかし、「遺産放棄」は法律上の用語ではなく、明確な定義もありません。そのため、人によって意味の捉え方が異なります。

一般に「自分は遺産放棄をした」と言う場合、他の相続人に対して「自分は遺産を相続しないでよい」と意思表示した、という意味で使われることが多いでしょう。実務上も、次のような対応をした結果、「遺産放棄(=相続放棄)」をしたつもりになっているケースが少なくありません。

  • 相続人の誰か、または司法書士・弁護士などが作成した遺産分割協議書に署名押印し、印鑑証明書を提出した
  • 「相続分のないことの証明書(特別受益証明書)」などの提出により、遺産相続手続きが進められた

このような方法は、手続きが比較的スムーズに進む一方で、どの書面に署名押印したのかを覚えていないということも起こり得ます(ただし、印鑑証明書は提出しているのが通常です)。

しかし、ここで重要なのは次の点です。

遺産放棄と相続放棄は違います

「遺産分割協議」だけでは借金の支払い義務は消えません

遺産分割協議書に「自分は何も相続しない」と記載し、署名押印したとしても、被相続人に債務(借金)がある場合、その支払い義務から当然に逃れられるわけではありません。

相続人は、原則として法定相続分に応じて債務を承継します。そして、相続人同士で「借金は長男が全部引き継ぐ」と合意したとしても、その合意をもって債権者に対抗することはできません(債権者の同意がない限り、相続人間の取り決めにとどまります)。

たとえば、次のようなケースです。

  • 「被相続人の一切の財産は長男が引き継ぐ」とする遺産分割協議書を作成
  • 相続人全員が署名押印し、印鑑証明書も提出
  • その結果、長男が不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の払い戻し等の手続きを進めた

この場合でも、債権者は、各相続人に対して法定相続分に応じた請求を行うことが可能です。つまり、「プラスの財産は何も受け取っていないのに、借金だけ請求される」という事態も起こり得ます。

借金を引き継がないためには「相続放棄」が必要です

家庭裁判所での相続放棄により、最初から相続人でなかったものと扱われます

被相続人の債務(借金)について支払い義務を負わないためには、家庭裁判所で相続放棄(相続放棄の申述)をする必要があります。

相続放棄が受理されると、その相続については初めから相続人でなかったものとみなされます。そのため、後になって借金が発覚した場合でも、支払い義務を負わずに済みます。

まとめ

「遺産放棄」という言葉は便利に使われがちですが、遺産分割協議書への署名押印だけでは、借金の支払い義務を免れない点に注意が必要です。債務を引き継がないためには、家庭裁判所での相続放棄を検討すべき場面があります。

くわしくは、松戸の高島司法書士事務所による「相続放棄手続き」のページをご覧ください。

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