松戸市の高島司法書士事務所

千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)では、2002年の事務所開業から20年以上の長期にわたり、ホームページやブログをご覧になってお問い合わせいただいた個人のお客様からのご依頼を多数いただいてまいりました。ご相談予約・お問い合わせはお気軽にどうぞ。

高島司法書士事務所ホームページ

相続放棄で相続分を集中できる?

相続放棄で相続分を集中できるのか(松戸の高島司法書士事務所) 相続放棄

「相続財産を特定の相続人に集中させたい」という場面では、相続放棄が選択肢になることがあります。もっとも、同じ目的でも 遺産分割協議など別の手段で対応できる場合があり、さらに借金(債務)や後順位相続人の問題が絡むと結論が変わるため、整理して理解することが重要です。

相続放棄の全般についての解説は、松戸の高島司法書士事務所による相続放棄のページをご覧ください。

この記事のポイント

  • 相続放棄は「借金回避」以外の理由でも利用されることがある
  • 相続分集中は遺産分割協議等でも可能だが、債務がある場合は注意が必要
  • 子が放棄すると、兄弟姉妹(代襲相続人)が相続人になる可能性がある

相続放棄の理由について

相続放棄は、被相続人(亡くなった方)が借金を抱えたまま死亡した場合に、その債務を引き継がないために利用されることが多い手続きです。

一方で、相続放棄は必ずしも「債務があるとき」だけに行うものではありません。たとえば、裁判所の「相続の放棄の申述」ページに掲載されている相続放棄申述書の書式では、「放棄の理由」として次のような選択肢が挙げられています。

  • 被相続人から生前に贈与を受けている。
  • 生活が安定している。
  • 遺産が少ない。
  • 遺産を分散させたくない。
  • 債務超過のため。
  • その他

相続放棄の理由は上記に限定されるものではありません。また、上記のいずれかを選択すれば、相続放棄の申述が必ず受理されるという意味でもありません。
それでも、債務超過以外の理由で相続放棄を行うケースがある点は、押さえておくと理解が進みます。

相続分集中のための相続放棄と、遺産分割協議の違い

前述のとおり、相続放棄は「借金を引き継がないため」だけの制度ではありません。相続人のうち1人に相続分を集中させる目的で、他の相続人が相続放棄をすることもあります。

典型例としては、被相続人である父が営んでいた事業を子の1人が引き継ぐにあたり、他の相続人が相続放棄をするケースです。

相続放棄した人は、最初から相続人でなかったものとみなされます。したがって、この例では、唯一の相続人となった子がすべての財産を相続することになります。

相続放棄をしなくても「集中」自体はできる

相続分を一人に集めるだけであれば、相続放棄をしなくても、次のような方法が考えられます。

  • 遺産分割協議により、相続人中の1人がすべての財産を相続するものとする
  • 相続人中の1人に、他の相続人が自己の相続分をすべて譲渡する

これらの方法でも、不動産その他の財産の名義変更を行い、相続分を集中させる目的自体は達成できます。
ただし、被相続人に債務(マイナスの財産)がある場合は、注意点が変わってきます。

債務がある場合:遺産分割協議だけでは足りない場面がある

被相続人の債務は、法定相続人に対して、相続分に応じて引き継がれます。
相続人間で「1人の相続人がすべての債務を相続する」という遺産分割協議を成立させたとしても、それをもって債権者に対抗することはできません。債権者の同意を得られなければ、相続人間だけの取り決めにとどまります。

相続人の1人が「すべてを相続する」場合、通常は債務(借金)も含めたすべてを承継すると理解されがちです。
そのため、債権・債務を含む一切の遺産を相続しない結論にするには、家庭裁判所での相続放棄が必要になる場面があります。

※なお、遺産分割協議を行うことは、相続の法定単純承認事由に該当します。したがって、遺産分割協議をした後に相続放棄をすることはできないのが原則です。

後順位の相続人がいる場合に注意

ここまでの説明は、被相続人の子のうちの1人に相続分を集中させる場面を想定してきました。
しかし、子が全員相続放棄をした場合には、後順位者が相続人になることがあるため注意が必要です。

たとえば、被相続人の配偶者に全財産を相続させようとして子の全員が相続放棄をしたとします。この場合、被相続人に兄弟姉妹(または、その代襲相続人)がいれば、その者が後順位の相続人となります。

つまり、配偶者に全財産を相続させる意図だったにもかかわらず、被相続人の兄弟姉妹(または代襲相続人)が新たに相続人となり、子たちが望んでいた結果とはまったく異なる事態になる可能性があるのです。

そのため、被相続人に配偶者と子がいる場合に、配偶者に全財産を相続させたいのであれば、相続放棄ではなく遺産分割協議によるべきです。
相続放棄を検討する際は、後順位相続人の有無を必ず慎重に検討する必要があります。

相続放棄のことなら何でも千葉県松戸市の高島司法書士事務所(松戸駅東口徒歩1分)へご相談ください。また、相続放棄の全般についての解説は、松戸の高島司法書士事務所による相続放棄のページをご覧ください。

FAQ(よくある質問と回答)

Q1. 相続放棄は借金がある場合だけに使う手続きですか?

A. いいえ。借金(債務超過)以外の理由で相続放棄を行うケースもあります。

Q2. 相続分を一人に集中させるだけなら、相続放棄は必須ですか?

A. 必須ではありません。遺産分割協議で一人がすべて取得する方法や、相続分の譲渡により集約する方法も考えられます。

Q3. 遺産分割協議で「一人が借金も含めて全部相続する」と決めれば、他の相続人は借金を負いませんか?

A. 相続人間の合意だけでは、債権者に対抗できないのが原則です。債権者の同意が得られない限り、内部的な取り決めにとどまります。

Q4. 遺産分割協議をした後に相続放棄はできますか?

A. 原則できません。遺産分割協議は法定単純承認事由に該当するため、後から相続放棄することはできないのが原則です。

Q5. 子が全員相続放棄すれば、配偶者が全財産を相続できますか?

A. 必ずしもそうとは限りません。被相続人に兄弟姉妹(または代襲相続人)がいる場合、その者が後順位相続人として相続人になる可能性があります。

Q6. 配偶者に全財産を相続させたい場合は、相続放棄と遺産分割協議のどちらが適切ですか?

A. 被相続人に配偶者と子がいる場合、配偶者に全財産を相続させたいときは、相続放棄ではなく遺産分割協議によるべきです。後順位相続人の有無を踏まえて判断します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました