個人民事再生では、債務総額(基準債権の総額)に応じた、再生計画に基づく弁済の総額(計画弁済総額)の下限が次のとおり定められています。
これにより、債務総額が100万円から500万円までの場合の最低限返済すべき額(計画弁済総額の下限)は100万円ですから、最大で400万円(債務総額の8割)の減額が受けられることになります。
基準債権の総額 | 計画弁済総額の下限 |
---|---|
100万円未満 | 債務の総額そのまま |
100万円以上500万円未満 | 100万円 |
500万円以上1500万円未満 | 債務の総額の5分の1 |
1500万円以上3000万円未満 | 300万円 |
3000万円以上5000万円未満 | 債務の総額の10分の1 |
なお、この計画弁済総額には、住宅資金特別条項を定める場合の住宅ローンは含まれません。個人民事再生手続によっても、住宅ローンについては一切減額されませんので、元本と利息の全てを支払うことになります。
清算価値保証原則
上記の規定に加え、計画弁済総額は、債務者が自己破産した場合に債権者が受けることができる予想配当額(清算価値)を下回ってはならないとされています。
簡単にいえば、その人が持っている財産の総額以上は、最低でも支払わなければならないということです。これを「清算価値保障原則」といいます。たとえば、退職金見込額や、生命保険の解約返戻金が多額な場合、計画弁済総額の算出にあたって清算価値が問題になることがあるかもしれません。
給与所得者等再生の可処分所得要件
給与所得者等再生の手続では、上記に加え計画弁済総額を可処分所得の2年分以上にしなければならないとの要件(可処分所得要件)もあります。
ここでいう可処分所得は、個々の家計の実情に応じて計算した可処分所得ではなく、収入や家族の人数、住んでいる場所などにより一律に算出されるものです。そのため、給与所得者等再生を利用すると、計画弁済総額が非常に高額になるために、あえて小規模個人再生を選択するケースも多いです。
また、可処分所得額の計算については、給与所得者等再生での可処分所得額の計算のページをご覧ください。