「相続登記」とは、亡くなった人が所有していた不動産(家や土地)の名義を、相続人に移すための手続きのことです。これをしないと、不動産の名義はいつまでも故人のままで残ってしまいます。
登記をしていないからといってすぐに不動産を失うわけではありませんが、放置しておくことで将来的に深刻なトラブルを招く危険性があります。
相続登記をしないと起こり得る問題
売りたいときに売れない
相続登記をしていない不動産は、相続人の名義になっていません。そのため、買いたい人が現れても売却できないという問題が発生します。不動産を売るには、まず相続登記を行って「正式な所有者」を登記簿に反映させる必要があるのです。
相続人の判断能力がなくなるリスク
時間が経つと、相続人の中に認知症などで判断能力を失ってしまう人が出る可能性があります。
この場合、その人に代わって手続きを進めるためには、家庭裁判所で「成年後見人」を選任してもらわなければなりません。成年後見人の選任には数か月の時間と数十万円の費用がかかることもあり、大きな負担となります。
また、現在の制度では、いったん成年後見人が選任されると遺産分割協議が終了しても後見は終了しません。そのため、遺産分割協議をするために成年後見人の選任をしてもらうというケースはあまり多くありません。
相続人同士の関係悪化や心変わり
相続登記を後回しにしていると、相続人の意見が変わってしまうこともあります。たとえば「もっと取り分を増やしてくれないと遺産分割協議書に署名しない」などと言い出されると、話し合いが進まなくなってしまいます。親族間のトラブルは一度こじれると修復が難しくなることも多いため、早めに登記を済ませておくことが大切です。
相続人と連絡が取れなくなる
相続人が海外に移住して連絡が取りづらくなったり、最悪の場合、行方不明になってしまうことも考えられます。登記をするには相続人全員の協力が必要ですから、一人でも連絡がつかないと登記ができない状況になってしまいます。
また、海外在住の相続人が手続きに協力してくれる場合であっても、現地の領事館へ出向いてサイン証明(署名証明)を取ってもらうなどの手間がかかることになります。
相続人が増えて話し合いが困難に
相続登記をしないまま放置していると、次の相続(親が亡くなった後にさらに子が亡くなる「二次相続」など)が発生します。その結果、相続人の範囲がどんどん広がっていき、関わる人数が増えていきます。遺産分割協議は相続人全員が参加しなければならないため、相続人が増えれば増えるほど調整が難しくなり、事実上、話し合いが不可能になるケースもあります。
まとめ:相続登記は早めに済ませることが重要
相続登記を長期間しないまま放置すると、
- 不動産を売却したいときに売れない
- 認知症や行方不明で登記ができない
- 相続人同士の関係が悪化して協議がまとまらない
- 相続人が増えて話し合いが困難になる
といった深刻なトラブルにつながります。
そのため、相続人同士で遺産分割の話し合いがまとまった時点で、できるだけ早く相続登記を済ませることが安全で確実です。後回しにすればするほど、問題が大きくなり、解決に時間と費用がかかってしまいます。
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