松戸市の高島司法書士事務所

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相続登記義務化で空き家問題は解消したのか

相続登記義務化で空き家問題は解消したのか(松戸市の高島司法書士) 相続登記

少し前のものですが、2025年4月14日付けの日経新聞電子版にに「空き家問題「相続登記義務化から1年」何が変わった?」とのタイトルの記事がありました。かなり専門的なことも書かれていましたが、一般の方にも分かりやすいよう概要をまとめてみました。

1.相続登記義務化の背景

  1. マイホーム購入時には登記が必須だと考えるのに対して、親から相続した土地では登記をせずに放置されがち。
  2. 長年にわたり相続登記をしていなかった結果、登記簿上の所有者がすでに亡くなっているケースが多く、誰が現所有者か分からない「所有者不明土地」が増えてきた。
  3. 戸籍などの保存期間の問題や、同じ地域だと同姓同名の人が非常に多いことによる混乱も背景にある。

2.義務化後の変化

  1. 2024年4月から相続登記が義務化。社会的関心は高く、制度としても順調に動き出している。
  2. 国民意識も「相続登記はしなければならないもの」へ変化してきた。
  3. ただし、義務化はゴールではなく「誰が最終的に所有するのか」を早めに決めることが重要。共有状態のままだと権利者がネズミ算式に増えてしまう。

3.遺言制度の活用

  1. 相続人同士の遺産分割協議が難航するケースもあるため、遺言の活用が推奨されている。
  2. 公正証書遺言と自筆証書遺言があり、後者は法務局の「自筆証書遺言書保管制度」(3900円、非課税)を利用可能。

4.相続登記の2段階の義務

相続登記には2段階の義務がある。

  1. 「親の土地を相続したことに気付いた時」から3年以内に登記。
  2. 遺産分割協議で所有者が確定したら、その時から3年以内に再度登記。

5.実務上の注意点

  1. 登記申請の却下理由で多いのは「物件の地番間違い」や「改製原戸籍の添付漏れ」。
  2. 解決策として、法定相続情報証明制度を利用すれば戸籍一式の添付が不要になる。司法書士等に依頼も可能。

6.運用と罰則について

  1. 義務違反には「10万円以下の過料」があるが、実際にはむやみに適用されない見込み。
  2. 過料が科されるのは、登記官が違反を把握し、催告書送付後も正当な理由なく登記を怠った場合のみ。
  3. 手続きは透明性・公平性を重視し、国民が安心できるよう配慮されている。

7.まとめ・補足など

相続登記が義務化されたことの周知が進んでいることにより、高島司法書士(千葉県松戸市)への相続登記のご相談も多くなっています。

しかし、相続開始から長い年月が経過することで、複数の相続が開始し、相続人が多数になっていることなどにより、実際に手続きを進めるのが難しいケースも多いです。相続登記が義務化されたことによって、今後の「所有者不明土地」などの発生は防げるとしても、過去に発生しているものの解消は簡単ではありません。

登記の却下理由で多いのは、「物件の地番間違い」や「改製原戸籍の添付漏れ」であるというような話も出ていましたが、司法書士が相続登記をする場合には通常そのようなことはあり得ないので、相続人による本人申請が増え、それに伴う混乱も生じているのだと思われます。

また、法定相続情報証明制度を利用すれば戸籍一式の添付が不要になるので、改製原戸籍の添付漏れが防げるとしても、法定相続情報一覧図の作成をするには、被相続人の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)などが必要なので、必要な戸籍等をすべて揃える必要があることに変わりはありません。

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