【質問】
祖父が亡くなりました。祖父が所有していた土地の名義を、孫である私の名義に直接変更することはできますか?
父(祖父の子)は健在ですが、父には持ち家があるため、私が祖父の土地を相続して家を建てるのが良いのではないかという話になっています。
なお、祖父は遺言書作成など生前の相続対策はとくにしていません。
【回答】
相続の原則:祖父から孫に直接相続はできない
ご質問のケースでは、お父様が法定相続人となります。相続では、被相続人(祖父)に子がいる場合、その子が優先して相続人になります。したがって、孫は相続人にはなりません。
つまり、相続による名義変更(所有権移転登記)ができるのは、法定相続人であるお父様のみであり、祖父から孫へ直接土地の名義を変更することはできません。
孫の名義にする方法
どうしても孫(ご相談者)の名義にしたい場合は、次の手順を取る必要があります。
- まず祖父から父へ相続登記を行う
- その後、父から孫へ生前贈与によって名義を移す
この場合、相続登記と贈与登記の2回の登記が必要になるため、費用が相続のみの場合より高くなる点に注意が必要です。
さらに、贈与には贈与税が発生する可能性があります。ただし、父が60歳以上・子が18歳以上であれば「相続時精算課税制度」を利用でき、贈与税をかけずに名義変更できるケースもあります。
代襲相続のケース
なお、今回のケースとは異なりますが、もしお父様が祖父より先に亡くなっていた場合は、孫が代襲相続人となり、祖父の財産を相続することができます。これを代襲相続といいます。
遺言書がある場合:孫へ直接名義変更も可能
例外として、祖父が生前に遺言書を作成していれば、祖父から孫へ直接土地の名義変更が可能になる場合があります。
たとえば、遺言書に「所有する土地を孫○○に遺贈する」と記載されていれば、遺贈により孫が不動産を相続できます。
ただし、遺贈登記は相続登記より費用が高くなる点に注意してください。
- 相続登記:固定資産評価額の 0.4%(登録免許税)
- 遺贈登記:固定資産評価額の 2%
例えば、評価額が1,000万円の土地なら、相続登記は約4万円で済みますが、遺贈登記では20万円かかります。さらに、遺贈には不動産取得税が課税される場合や、孫への遺贈だと相続税が2割加算される特例もあります。
【まとめ】
- 原則、祖父から孫へ直接土地の名義変更はできない
- 一度父に相続登記を行い、その後に贈与により孫へ移す
- 遺言書があれば、祖父から孫へ直接名義変更が可能
- 遺贈登記は費用・税金が相続より高額になるので注意
相続登記や遺贈登記の手続きは複雑です。司法書士など専門家に相談することで最適な方法を選択することができます。
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